あーかい あーかい まっかいけ

85歳の母が亡くなった。母の死から教えられたことをすこし聞いてもらいたい。

中秋の名月

下の娘が東京で仕事をすることになり、家族総出で娘の引越しを手伝いました。

東京で仕事と言っても住むのは横浜の片隅ですが…

車で荷物に埋もれながら行きましたが、帰りは旦那が先に車で帰り、私はその翌々日に帰り、上の娘は東京を満喫し足らないのか更に残りました。

 

その帰りの新幹線での出来事です。 

節約して各駅停車のこだまで帰ることにした私の席は3列シートの真ん中で、

おおよそ4時間、ずっと座ったままで少しくたびれました。

窓側の席の方が途中で下車され、

浜松駅からその空いた席に外人さんが座りました。

欧米の方には新幹線の奥の席はとても窮屈そうでした。

席についてすぐに隣の私に

「食べてもいいですか?」

と言葉をかけてから、ドーナツを食べ始めました。

反対隣の女性が座ってすぐにおにぎりを食べ出した時には何も思わなかった事が、

この外人さんの一言で、マナーというかエチケットというか、気配り大切だなと思いました。

 

 

岐阜を過ぎたあたりでその外人さんが突然私に携帯電話を差し出し、

「見てください

    昨日生まれました

    瑠菜といいます

    嬉しくて」

と、かわいい赤ちゃんの画像を見せてくれました。

 

LINEに貼られた画像には

中秋の名月にちなんで

   瑠菜(ルナ)という名前をつけました」

という文章が書かれていました。

 

それをきっかけにその外人さんと下車するまで色々お話しました。

この瑠菜ちゃんという赤ちゃんは、彼の奥さんのお姉さんが出産されたそうで、

奥さんは仕事で行けなくて、一人で会いに行ったそうです。

 

奥さんとはハワイで出会い、今は大阪の天王寺で暮らしているそうで、

仕事をしながら日本語の勉強をしている、

と上手な日本語で話してくれました。

 

私も娘の写真を見せて

「初めての一人暮らし、心配です。」

とか、色々私の話もやさしく聞いてくれました。

 

袖振り合うも多生の縁

こんなことわざを思い出しました。

 

 

この生まれたばかりの瑠菜ちゃんが、母の年齢になった時、

この日本は、世界は、

どうなっているのでしょう。

瑠菜ちゃんの子や孫が、楽しく笑えている、

そんな世界でありますように、

そう心から願いました。

 

瑠菜ちゃん

あなたの異国からやって来た義理の叔父さんと

あなたの生まれた翌日、義理の叔父さんとたまたま新幹線のお隣同士になった見ず知らずのおばさんが

瑠菜ちゃんの誕生を喜び、瑠菜ちゃんの成長を祈りました。

 

 

 

母が亡くなってはじめたこのブログ

当たり前のことだけど、誰かが死んでも、どこか遠くで新しい命は生まれている。

何の信仰心もない私ですが、大きな命のつながりというものを深く実感しました。

 

 

*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・**・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・**・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・

 

 

f:id:arigatookan:20151013134106j:plain

 

 中秋の名月

あんまり綺麗だったので人通りの多い中、慌てて写真を撮りました。

翌日あんな素敵な出会いがあるなら もっとちゃんと撮っておけばよかった。

後悔の一枚です。